スペイン アルバイシン地区をいく


 グラナダのアルハンブラ宮殿を見おろす
小高い山にはりつくように存在している
フラメンコの起源にとって
重要な場所であるアルバイシン地区と
サクラモンテ地区を歩く。
ぼくと家人が訪れる前日までのグラナダは
3週間ずっと毎日、雨だったそうだが山を
登っていくと雲が切れ、青空が広がっていった。

 2013.3月末にスペインのグラナダを訪れた。
かつて生徒だったH君がこのアルバイシンに
あるフラメンコの学校
「Escuera Carmen de las Cueva」に
留学中だったので
合流して、アルバイシン、サクラモンテのディープな
スポットを案内してもらった。

     
    アルバイシンの
裏通り 

 山の中腹にレンタカーを停めて
アルバイシン地区の散策を始めた。
バルや生活用品店、土産屋なども
多くあり地元の人、観光客でなかなか賑わっている。
ここの住民はみな犬を放し飼いにしていて、
石畳には犬の○ンに遭遇する頻度はたいへん高く
足元を注意して歩くよう、H君に再三、
注意を受けた。
しかし、結局その爆弾を踏んだのは我々でなく、
人に注意喚起を怠らなかった
H君本人だったのだが・・・。
Lo siento(残念・・)

     
洞窟にある
フラメンコ学校 
内部の天井や
壁は石灰で白い 
雨の時、石灰が
はがれて床に
落ちるそう


 休日のため学校は閉まっていたが、
鍵をもっているH君は扉を開けて中を自由に
見学させてくれた。
内部は3階構造になっていて日々、
熱いレッスンが繰り広げられているのだろうが、
本物の洞窟なので各部屋はやはりひんやりする。
山の斜面をくり抜いて、土の上に直接石灰を
塗ったくったようだが、校内は整然としていて
なかなか綺麗だ。

     
洞窟の家     

 学校を見学させてもらい、山登りを再開する。
それほど急な勾配ではないくねくねとした
細い道の両脇は春の生命力にあふれた
草花でいっぱいだ。
初めは曇った空模様だったがやがて、
青空が広がり、歩けば歩くほど眼下の
朱いアルハンブラ宮殿が
ますます美しく感じられる。
山といっても小一時間もあれば頂上まで
行けてしまうほどだが、道すがらにはたくさんの
洞窟の家がある。
ジプシー(スペインではヒターナと呼ばれる)や、
アフリカ系、フランス系などの人たちが勝手に
住み着いている。
グラナダ政府はこのような人々を
取り締まることもなく容認しているそうだ。
歩いていてすれ違った人が「ボンジュール!」
などと気さくに声をかけてきたりする。
洞窟の家をたくさん見ることができたが、
いかにもそれっぽいものや、
なかなか立派なものもあった。
総じて感じたことは、とても治安がよく、
明るくそれほど悲壮感が漂ってこないことだ。
ここに住んでいる人々はくったくなく
よく挨拶しあっているし、
そこかしこから、フラメンコを歌っている
声も聞こえてくる。
何を口ずさんでもフラメンコになり、
フラメンコの魂が生活そのものといっていい。

 旅に出ると日本での自分の価値観を
考えなおさせられることに度々、遭遇する。
例えば、ここにはお金を求めた物質主義とは
正反対にある、足るを知った人間本来の
幸せの尺度がある。

     
アルハンブラ宮殿を
背景に 
  山の頂上の教会 

アルバイシンのバル

       
バル
「Torcuato」 
賑やかな店内  突き出しの
パエリア 
滋味あふれる
エスカルゴ 

 H君のおすすめバル「Torcuato」に
連れていってもらった。
スペインではビールやワインとともに
タパスと呼ばれる小皿料理をつまむのが一般的。
最初の1皿目が無料か、有料かはスペインの
各地でも違いがあるらしいが、
ここグラナダではだいたいの店では飲み物を
頼むとその1杯1杯に無料タパスが付いてくるという
とても嬉しくもお得なシステムがある。
ビールはだいたい1ユーロちょっとだから、
日本に比べるとずいぶんと安くご機嫌になれる。
しかも、この店のシェフはかなり腕利きらしく、
いつもお客で一杯だそうで
とにかくすべてのタパスが絶品だった。
突き出しからして、パエリアを出してくると
いうサービスぶりにも驚いた。

サクラモンテのタブラオ

 山の裏側に回るとサクラモンテ地区がある。
ここは洞窟のタブラオがずらっと軒を
連ねていて壮観だ。タブラオとはフラメンコの
ライブハウスのようなもの。
H君がいろいろ良さそうなタブラオを
物色してくれ、彼の学生割引を我々にも
適用してもらいワンドリンク付き25ユーロの
ところ20ユーロにしてもらった。
19時から1時間ほどのステージで、カンテ、
バイレ、ギターどれもよかった。

       
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