アルゼンチンの旅


 2008年10月末から11月あたまにかけて
南米のブラジルとアルゼンチンを旅してきました。
10日間という限られた時間の中で
この2カ国を移動しました。
行程は東京からブラジル(ヒューストン経由)→
ブラジルからアルゼンチン→
アルゼンチン(ヒューストン経由)から東京です。
東京→ブラジル、アルゼンチン→東京間は
いずれも30時間にも及びます。
ブラジル4泊、アルゼンチン2泊という
短い滞在でしたがこのページではタンゴに
ふれるアルゼンチンの旅を綴ります。


 今回アルゼンチンの宿泊地はタンゴ発祥の
地として有名なブエノスアイレスです。
ブエノスアイレスはヨーロッパからの移民を
数多く受け入れてきた港町という背景を
もっています。
したがって、街並みは美しく、
洗練されたヨーロッパ的建築物が歴史を
感じさせることからも「南米のパリ」と
呼ばれています。

Plaza Coronel Dorrego

 アルゼンチンのブエノスアイレスに
到着したのは日曜日の午後でした。
滞在2日間は素晴らしい青空の連続。
ちなみにブエノスアイレスとはスペイン語で
よい(buenosu)空気(aires)という意味です。
ぼくのスペイン語の先生がかつてこの地に
住んでいたことがあったので旅行前に
いろいろ観光名所を教えてもらいましたが
2日間では当然すべてをまわることは
できませんでした。
とりあえず、タンゴにゆかりのある場所に
焦点を絞ることにしました。
 ブエノスアイレスの国際空港に降り立ち、
ホテルのある中心地までタクシーで30分ほどで移動。
ちょうど日曜日はホテルの近くの
ドレーゴ広場で骨董品市がひらかれているとの
ことなのでチェックイン後、散歩がてら行ってみる。

   

 あまり期待しないで訪れたドレーゴ広場は、
予想をはるかに超える人出で楽しいお祭りの
ような状況で驚きました。
広場には露天の骨董品店や民芸品店が
たくさんあり、男女のカップルがタンゴを
踊っています。
広場へと続く通りでは様々なパフォーマー、
ストリートミュージシャンらがたくさんおり、
その通りの両側には所狭しと
絵や作品を売る芸術家やおみやげの
露店が連なっています。
さらに、その通りをいろいろな種類
(ブラジルのサンバ、ウルグアイのカンドンベなど)
の大編成の打楽器隊が大音量でダンサーを
引き連れ、ひっきりなしに行進しているのです。
まあ、賑やかなことといったら・・。

   



Bar Sur

 季節は日本と逆ですから春です。
それにしてもアルゼンチンの太陽は
なかなか沈まない。
午後9時ちかくまで明るいおかげで夕方から
訪れたのにもかかわらずドレーゴ広場は
十分楽しめました。
この広場の近くに「バー・スール」という
タンゲリア(タンゴのライブハウス)があることを
知ったので、ホテルへは帰らず
そのまま直行することにした。
午後9時からのステージは大きくわけて歌、
器楽演奏、踊りの3つの構成でできていた。
初めに歌手のおばちゃんがでてきて
カラオケで切ないタンゴのメロディーを歌い
何曲か歌いました。
どうなることやらと見守っていると、
その後バンドネオン、ヴァイオリン、
ピアノのトリオがあらわれて演奏(歌なし)した
タンゴは素晴らしかった。
とくにピアソラの「アディオス・ノニーノ」の
切れのあるリズムと、枯れたバンドネオンの音色は
さすがタンゴの本場とうならせます。
 しかし、食事付きのけっこう高めの料金の
料理内容は乾き物中心
(チーズ、オリーブ、サンドウィッチ等)で
少々不満。
このような時、食事付きライブチャージでいくか、
ライブチャージのみでいくかの判断は
難しいところです。
多くの国でこのようなシステムがあり、
それぞれの名物料理、お国柄がでていて
それもまた興味深いものですが・・。


Caminito

 ブエノスアイレス2日目はボカ地区の
カミニートを目指します。
ここはタンゴ発祥の地といわれています。
ホテル近くの地下鉄C線のラバージェ駅から
6駅先にある終点のコンスティテゥシオン駅で下車。
そこから歩いてボカ地区に行こうとしましたが、
かなり距離があるようだったので途中で
あきらめバスに乗りました。
バスはかなりレトロなもので、乗車するとすぐに
運転手脇にある券売機に料金を投入します。
両替はできないので、小銭を用意して
おかなくてはならない。
券売機はバスによっていろいろとタイプが
違ってたいへん。
 この日もぬけるような青空でカラフルな
街並みのカミニートはいっそうか輝くように
華やかでした。
カミニートとはスペイン語で小道という意味ですが、
実際はそれほど小道というより数百メートルに
わたりたくさんの色とりどりのレストランや土産屋が
立ち並ぶ、ブエノスアイレスの人気観光スポットです。

     


 この通りを歩いていると、とにかくあちこちから
タンゴが聴こえてきてタンゴ一色です。
軒を連ねるレストランの店先では客寄せのため
タンゴ演奏や踊りが常に繰り広げられているのです。
タンゴは本来、夜の酒場で生まれたようですが、
青空の下の健康的なタンゴもあるのですね。
それにしても、タンゴの踊りは情熱的、官能的、
刺激的・・。
ぼくはテラスで気持ちよくアルゼンチンのビールを
飲みながらブエノスアイレスはよいところだなあ・・
とぼんやりタンゴのステップを
ながめていました。

 アルゼンチンは明るく陽気な国であると
同時に音楽や芸術を大切にする国でもありました。