ディミニッシュ分散


 短3度音程を積み重ねるディミニッシュコードを
分散させてメロディーにすることがあります。
例えば、Cディミニッシュコードであれば、
構成音は譜例1のようにド、ミ♭、ソ♭、ラ。


譜例1


ギターの指板上では以下のような音の
配置になります。
隣り合った音はすべて短3度音程になるので、
どの音から始めても一貫して
ディミニッシュ特有の響きがします。

クラシックギターのレパートリーでの使用例


譜例2は、タレガのアラビア風奇想曲のテーマが
始まってからの3、4小節目。

譜例2



譜例3は、ペルナンブーコのショーロ(鐘の音)の
12~14小節目。


譜例3


譜例4は、ディアンスのタンゴ・アン・スカイの
冒頭部分。
とても息の長いディミニッシュ分散フレーズ。


譜例4




譜例5は、ギターのレパートリーではありませんが。
バッハの12の小プレリュードの1番。
エンディングの5小節。
4小節目の4拍目はトニックであるCの
直前のドミナントコードのG7。
同じ小節の3拍目はさらにそのドミナント(G7)の
ドミナント(セカンダリードミナント)。
短3度音程が3連続しているので、
ディミニッシュの分散になっている。
コードネームをつけるとすればD7(♭9)か。

譜例5


 ロックギタリストでは
イングヴェイ・マルムスティーンなどが
ディミニッシュ分散を多用しますが、
ジャズのスタンダードでもディミニッシュコードは
多く見られるので、
コード感を出す即興演奏の際にはこのような
ディミニッシュ分散フレーズも
弾けるようにしておくべきでしょう。