教会旋法 Church Mode
教会旋法とは中世ヨーロッパで使用された
音組織(音階)のことで、グレゴリオ聖歌によって
体系化されました。
グレゴリオ聖歌はローマカトリック教会で
歌われる無伴奏の単旋律聖歌のことで、
ローマ教会の典礼・聖歌の発達と普及に
貢献した教皇グレゴリウス一世にちなんで
9世紀ごろからこう呼ばれるようになりました。
(ここでは旋法とスケールは同義であると考えます)
Cイオ二アン(Ionian)はCメジャースケールと
全く同じです。
そして、これを基準に
Dから始まるスケールをDドリアン(Dorian)、
Eから始まるスケールをEフリジアン(Phrigian)、
Fから始まるスケールをFリディアン(Lydian)、
Gから始まるスケールをGミクソリディアン(Mixolydian)、
Aから始まるスケールをAエオリアン(Aeorian)、
Bから始まるスケールをBロクリアン(Locrian)
といいます。
譜例1参照。△は長2度音程、
-は短2度音程をあらわしています。
譜例1
譜例1を見てわかるとおり、
結局始まる音が違うだけで構成音がすべて
同じことになります。
では、おなじ構成音だから、
わざわざ独立したものとして覚える必要はないと
考えるた方がよいでしょうか?
・・そうではありません!
なぜならすべてのスケール(旋法)には
独特の個性があるからです。
譜例2
譜例2は譜例1に書かれている長・短の
配列の比較をさらにわかりやすくするために
すべてのスケールのルート音を
Cに統一したものです。
また、赤く囲んだ音はそのスケールを
印象づける特徴音です。
メジャー系スケールは
メジャースケール(Ionian)との比較で、
マイナー系スケールは
ナチュラルマイナースケール(Aeorian)との比較で
特徴音の位置づけ*をします。
メジャー系(明るい)・・・イオ二アン、リディアン、
ミクソリディアン
マイナー系(暗い)・・・ドリアン、フリジアン、
エオリアン、ロクリアン
*3度の音にあたるEの音がナチュラルEで
あればメジャー系、フラットEであれば
マイナー系といえます。
譜例3
教会旋法を理解するカギは特徴音を
理解することにあります。
譜例3にあるように
イオ二アンとメジャースケールは同一、
エオリアンとナチュラルマイナースケールも
同一のものです。
メジャースケールとナチュラルマイナースケールは
最も一般的なものなので、
その他の教会旋法との比較には格好の素材です。
メジャースケールの各音を数字で
1,2,3,4,5,6,7と呼ぶことにすれば、
その他のスケールを簡単に覚えることができます。
例えば、ドリアンは1、2、♭3、4、5、6、♭7などと。
そして、ドリアンの特徴音はナチュラル6と
把握すればよいのです。
教会旋法は、楽曲分析や作曲に役立ちますし、
とりわけジャズの世界ではアドリブを
する際に重要なものとされています。
いつも見ていたメジャーとマイナーという
2つだけの世界が角度をかえて見ることによって
さまざまな色彩を放ってくることに
気づくでしょう。
次回は実際に音素材を聞きながら、
各旋法の理解を深めていきます。